置賜あれこれ 玉庭ひなめぐり
第1話「玉庭ひなめぐり」
毎年3月末に行われている玉庭ひなめぐり。
川西町玉庭の民家や学校、寺などを会場に様々なひな人形を飾っています。
江戸時代、ひな祭りの時期になると各家に飾られたひな人形を子ども達が見てまわる風習があり、玉庭ひなめぐりではこの流れを受け継いでいます。
展示している人形は、江戸期の、ものを中心に 古今雛、享保雛、有職雛、相良人形など。
玉庭地区は かつて米沢藩の武士が多く住んでいて 、江戸や京都への勤務の際に家族へのお土産として買ってきたものが家の宝として現在まで大切に受け継がれて来ました。
玉庭ひなめぐりでは、地区内の民家や各施設などに展示した雛人形を家々をめぐり鑑賞することができ、ひな人形の見学と同時におもてなしとして、抹茶や山菜などを使った郷土料理をお楽しみいただけます。
第2話「企画展のはじまり」
昭和61年に川西町埋蔵文化財資料展示館がオープンしました。
しかし冬の期間は入館者が少ないことから、施設の利活用のために企画展示を行うこととなります。
最初の展示は昭和63年、「我が家の徳利展」を開いたところ約200人の入館者がありました。
その後は、「細井平州展」「名士書籍展」「狩野文信展」「藁文化展」などを行いました。
その中で、平成4年度「我が家のひな人形展」を実施したところ入館者が1,000人を超え、話題となりました。
遠くからは福島や東京、冬の時期にハイヒールで駅に降り立った方もいました。
「我が家のひな人形展」は、平成16年まで埋蔵文化財資料館で、置賜の各家の人形を借りて行ってきました。
第3話「展示の歴史」
平成9年、玉庭地区の会議にて「玉庭地区で何か地域を活性化できることがないか」という話し合いが行われました。
その際、川西町埋蔵文化財資料館にて行われていた「我が家の雛人形展」で玉庭地区に保管されているひな人形が多く展示されていることから、玉庭の民家で展示をすることとなりました。
昔玉庭に住んでいた足軽奉公人の家は、すべて曲家、草屋根の同じ作りとなっていました。
そこで玉庭での展示を始めるにあたり、茅葺の曲家、山菜を中心としたお茶請け、郷土の雛人形の3点を楽しんでいただく計画を立てました。
最初の年は、200人を越える来訪者があり、その後も年々来訪者が増えたため、最近は民家だけでなく学校や寺など多くの人が入れる施設を会場に加えました。
第4話「古いひな人形について」
川西町には約20組ほどの江戸期のひな人形があり、その8割~9割が玉庭にあります。
古い人形の特徴の1つとして、人形の着物が金襴となっています。
和紙に金箔を貼り細く切って、着物に織り込みました。
徳川吉宗は、金襴の人形や8寸よりも大きい人形を作ることを禁止したため、これ以前に作られた人形だとわかります。
その後作られたのが古今人形で、ひな人形の目が、手書きからガラス玉に変わります。
今から約190年前(天保年代頃)からこのような人形が作られるようになりました。
また、古い人形の着物は紅花で染めた朱色、明治になると化学染料で染められるようになりました。
米沢藩主上杉鷹山の家臣、相良清左エ門の手によってつくられた相良人形、玉庭の奉公人が江戸で買ってきた鴻巣人形や江戸人形なども残っています。
そして、珍しいものとして片膝を立てた座り方(大和座り)をしている女雛があり、玉庭には2体あります。
第5話「今年の玉庭ひなめぐり」
第21回玉庭ひなめぐりは、2019年3月23日(土)24日(日)、川西町玉庭の民家やお寺などを中心に開かれます。
受付時間は、午前9時~午後2時。鑑賞時間は午前9時~午後3時30分まで。
今年は、2体の人形を修理し、その中の1体は初めて展示するものです。
また、県外の方にも交通の心配なく楽しんでいただけるように、ジャンボタクシーで巡ることができる企画もあります。
JR米沢駅やJR米坂線羽前小松駅などからご利用いただけるもので、雪深い玉庭地区でも安心して楽しんでいただけます。
玉庭ひなめぐりを通して、歴史を知ってもらうと同時に郷土の良さ、玉庭の良さを感じ取ってもらい、またひな人形やひな飾りなども次の世代へ伝わっていくことを願っています。